足の臭い成分は、イソ吉草酸アルデヒド
足の臭いの成分を、2015年にロート製薬株式会社が、「日本味と匂学会第49回大会」で発表しています。
足の臭いの原因は「イソ吉草酸」と言われていますが、ロート製薬が20〜50代の男女を対象に、
足の臭いと足汗から採取されたニオイ物質の量の相関関係を調べた結果、、
特に「イソ吉草酸アルデヒド」の量が多いほど、足の臭いが強くなることがわかりました。
イソ吉草酸を目で見ることができる技術
足臭の原因成分であるイソ吉草酸を可視化する技術を花王が開発しました。
この技術は“ScentEYE(セントアイ)”技術といって、ご覧のようにイソ吉草酸の分布状態を可視化することができます。
足の臭い成分は、空気のようなものだと思っている方が多いのですが、
足の臭い成分は花粉のような空気中に漂う微小の物質なんです。
そのニオイ物質が鼻の粘膜に付着することで人は臭いを感じるのです。
イソ吉草酸アルデヒドの発生メカニズム
また、角層に表皮ブドウ球菌と人工汗を加えて培養してもイソ吉草酸アルデヒドが発生するそうです。
角層とは
角質層とも呼ばれ表皮の最も外部に位置し、皮膚の表面にあたる部分をいいます。
イソ吉草酸アルデヒドを抑制する成分
また、研究の結果、2種類の植物エキス(エイジツエキス、セージエキス)に、
「イソ吉草酸アルデヒド」の発生抑制効果があることが判明しました。
さらに、ナイロン末に「イソ吉草酸アルデヒド」を吸着する高い効果があることも明らかになっています。
これらの成分を配合した製品がロート製薬から販売されています。
皮膚常在菌
ロート製薬の研究結果から皮膚常在菌さえいなければ足が臭うことがないことはわかったわけですが、
足の裏だけでなく、皮膚常在菌は人の身体全身に存在しています。
普段は人間の身体と共存していて、汗や角質を栄養源としながら、外部から入り込む悪い細菌から身体を守ってくれているのです。
このように皮膚常在菌は人間にとって必要な細菌でもあるのですが、
なんらかの理由で皮膚常在菌が正常値を越えたときに、イソ吉草酸アルデヒド(いそきっそうさんアルデヒド)が発生するのです。
イソ吉草酸アルデヒドは、角質の奥に入り込むと足の表面を洗っただけでは除去することはできない厄介な性質を持っています。
代表的な皮膚常在菌
プロピオニバクテリウム属(アクネ菌もこの一種)、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、マラセチア
サイエンス誌には205種類が同定されています。
イソ吉草酸アルデヒドの発生過程
イソ吉草酸アルデヒドが発生するのは、汗、角層と皮膚常在菌が原因ということがわかりました。
皮膚常在菌は足から発汗された汗と角層を栄養源として増殖が始まります。
皮膚常在菌は増殖の過程で、分解して栄養として取り入れた残りの汗や角層を排出するのですが、
この排出された老廃物の中にイソ吉草酸アルデヒドが含まれているのです。
イソ吉草酸アルデヒドを発生させないために
これらのことから、汗、角層、皮膚常在菌のどれかを排除することができれば、イソ吉草酸アルデヒドが抑制されることがわかります。
汗は制汗剤を使うことで抑制することができます。
角層も異常なターンオーバーが繰り返されれば問題はありません。
皮膚常在菌は、除菌タイプのウエットティッシュなどで足を拭くことが効果的です。
外出していて常に拭く事ができない場合は抗菌クリームなどを塗るか、靴に抗菌タイプのインソール(中敷)をいれておくことで対応が可能です。
イソ吉草酸アルデヒドは物質
足の臭いの元凶であるイソ吉草酸アルデヒドは、空気のようだと思われるでしょうが、違うんです。
その物質が鼻の粘膜につくことで臭いを感じるのです。
つまりは目には見えない小さなブツブツがイソ吉草酸アルデヒドの正体なのです。
この臭い物質を除去するには、よく見かける消臭スプレーでは除去できません。
一時的に臭い物質を化学的、感覚的に変化や中和させることで臭いを感じなくさせる事はできるのですが、臭い物質が消滅したわけではありません。
臭い物質は存在し続けているので、消臭スプレーを使い続けることで、変な臭いに変化したり、さらに臭いが悪化するのはこのためです。
完全に臭い物質を除去するには、冷蔵庫に入れる脱臭剤や空気清浄機のように物理的に除去する必要があります。
足を洗うのなら石鹸
人間の皮膚は通常弱酸性で、体内は弱アルカリ性になっています。
イソ吉草酸アルデヒドは酸性なので、弱アルカリ性の石鹸で洗うことで中和することができ臭いを抑制することができます。
石鹸で洗うことで一時的には皮膚表面は弱アルカリ性になりますが、次第に弱酸性に戻ってきます。
弱酸性や中性のボディソープは、洗浄力は強いのですが、イソ吉草酸アルデヒドを中和させる効果はありません。
関連記事:足の臭いを消す石鹸
足の臭い成分アンモニア
アンモニア成分が発する臭いは、ツーンと酸っぱいアンモニア臭です。
アンモニアは足の裏に存在するエクリン腺から汗と一緒に出てきます。
健康状態が正常であればアンモニアは出てこないのですが、疲労などにより体内でアンモニアが分解されないときに汗と一緒にでてきてしまうんです。
注意してほしいのは、アンモニアは疲労だけでなく、肝機能に障害があるときも分泌されるということです。
アンモニアの臭いがあまりにもひどい時には、医師の診察を受けるようにしてください。
場合によっては重篤なケースも考えられるからです。
もうひとつアンモニアが出てくるケースとしてはストレスがあります。
「手に汗を握る」という言葉はご存知だとは思うんですが、この言葉からわかるように人は緊張したりストレスを感じると汗をかきやすくなるんです。
常日頃からストレスを抱えているとアンモニアが汗と一緒にでやすくなります。
足の臭いを気にしすぎることでさらにストレスを抱え、足の臭いが酷くなることもあります。
対策
アンモニアはアルカリ性なので、お酢やミョウバンなど酸性の物質を使って中和させることで臭いを抑えることができます。
「イソ吉草酸アルデヒド」対策で使用するアルカリ性の重曹を使用しても、同じアルカリ同士なので効果はありません。
ストレスが継続したりひどくなると「精神性発汗」という症状を引き起こし、
本人が気が付かない時に発汗を促している状態になったりもします。
ストレスを無くすことは難しいですが、常日頃からストレスをため込まないようにする工夫をすることで症状はよくなるはずです。
まとめ
足の臭いの発生の正しいプロセスを知ることで、対策も明確になってきます。
数多い足の臭い対策グッズを選ぶときにも参考になるはずです。
ここで紹介した方法を参考にイソ吉草酸アルデヒド対策、アンモニア対策を行ってみてください。